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第5回 RPA

RPA

前回は「チャットボット」について話をしました。実はチャットボットはRPAの一部とも言われています。ではRPAとはなんでしょう?

RPAとはRobotic Process Automationの頭文字をとったもので、事務処理などを代行するソフトウエアロボットです。事務処理といってもパソコンの中で可能な処理だけとなっています。最近、なぜRPAが注目されるようになったのでしょうか。もちろんAIによる技術進歩もありますが、2016年9月に内閣から「働き方改革の実現」について取り組みが提案されました。人口が減っていく日本で2060年には労働力人口がピーク時の半分になるといわれています。今までと同様の生産性を保つひとつとして仕事の効率化があげられました。この仕事の効率化を実現するためにRPAへの期待が高まったのです。またRPAはロボット(機械)が作業するのでミスがなくなるのは当たり前ですが、人が処理していた確認作業やミスの修正作業の時間がなくなり、その時間を他の作業に取り組むことができるようになります。

たとえば、交通費を請求するときに、RPAを導入する前では申請書にA駅からB駅まで、B駅からC駅まで、・・・と複数の区間と金額を記入し、合計金額を申請したとします。人が記入するので、チェックする人が数字の0と6を読み間違える可能性があります。申請する人の移動が多ければ記入量も増え、手間がかかります。もし交通費請求のRPAを導入したら、社員カードと交通系のカードを機器にかざすだけで、申請書が簡単に作成されます。最後に申請者が確認ボタンを押せば終了し、ひとつの作業が短時間に正確に完了します。実際には上司の承認、経理の処理、申請者への振込みといったように会社全体にも利点があります。

AIとは話が離れてしまいましたが、RPAは表計算ソフトのマクロとAIコンピュータとの間に位置しているといわれています。RPAによってデータが集められ、これらのデータをAIで分析することが考えられています。交通費のたとえでいえば、交通費を最小にする駅の回り方や定期訪問する先へのアポイントメント時期の提案、もっと進んでいけば、訪問先と時間が提案されるので、人間はアポイントメントの電話をしてOKボタンを押すと、次の提案が提示されるといったように、今まで勘に頼っていたところが自動化されて効率的に仕事ができるようになるでしょう。


「YSeye16号」掲載