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第15回 組み込み系エンジニア編

組み込み系エンジニア

「シリーズ ITお仕事図鑑」第15回は「組み込み系エンジニア」編です。

「組み込み」とは、聞きなれない言葉かもしれませんが、実は身近なものです。家電品や自動車などに搭載されている小型のコンピュータ(=マイクロコンピュータ、略してマイコン)を制御するためのシステムを「組み込みシステム」といい、組み込みシステムを構築するエンジニアを「組み込み系エンジニア」と呼んでいます。また、「組み込み」の英訳はEmbeddedですので「エンベデッドエンジニア」とも呼ばれます。

では、具体的にはどんなことをするのでしょうか。

まず、家電品などに搭載する機能の検討を行います。エアコンを例に考えると「暖房」「冷房」「除湿」「停止」などが必要となります。次にシステム設計を行います。エアコンの場合は、「暖房」「冷房」「除湿」「停止」「温度設定」など必要なボタンは何か、ボタンを押されたらどのような動作をすればよいかなどを考えます。さらに、ハードウェアやソフトウェアの設計を行います。本体の大きさや内蔵するマイコンの機種、回路の設計、制御するOSの決定、必要となるソフトウェア(プログラム)の設計などを行います。設計ができたら、それに基づいてハードウェアとソフトウェアを制作し、ソフトウェアをハードウェアに実装します。その後、設計通りに動作するか、使われる環境によって誤作動しないか、エラーは発生しないかなどをテストし、不具合があれば修正し、製品を完成させます。

一般的なコンピュータのプログラムとは異なり、組み込みシステムは、一度製品に組み込まれると変更することができません。「暖房」ボタンを連打されても大丈夫か、「暖房」ボタンと「冷房」ボタンを同時に押されても大丈夫かなど、いろいろなケースを想定してテストを繰り返し、エラーの起きないシステムを作らなければなりません。

組み込み系エンジニアに求められる最も大切なスキルは、プログラミングです。限られた処理能力、記憶容量の中で機器を制御するために、C言語やアセンブラ言語が利用されるケースが多いため、これらの言語を使ってプログラミングできるスキルが求められます。また、最近ではJava言語も使われるようになってきています。

組み込み系エンジニアになるには、最初にテスト業務を担当します。テスト業務は、地道な作業が多いですが、大変重要な業務です。コツコツと実務経験を積むことが大切です。

自分が開発にかかわった製品が店頭に並び、多くの人々に使われると大きな達成感が得られます。モノ作りが好きなアナタ、組み込み系エンジニアを目指してはいかがでしょうか。


「YSeye23号」掲載